ナショナル・トレジャー

いかにもアメリカ映画、実にハリウッドらしい娯楽作。なかなかよく出来ていて私は楽しめました。


公式→ http://www.movies.co.jp/nationaltreasure/index.html


この映画、娯楽に徹しているだけにアメリカ人の国家感というのがよく出ている映画かも知れません。
話はニコラス・ケイジショーン・ビーンロード・オブ・ザ・リングのボロミア)によるアメリカ建国にまつわる財宝を巡っての争奪戦なんですが、ケイジが建国以来の理想と伝統と重んじる歴史学者ビーンが目的のためなら銃も爆薬も使う少々法を犯しても実力行使でやっちゃう金持ちという役どころ。まさにアメリカの異なる側面を象徴するような登場人物なんです。粉川哲夫さんもこんなことを書いておられました。

しかし、映画の社会的な機能をパラノイアックに意識すると、この映画、なかなかの「問題作」である。わたしは、歴史の素養が乏しいので判断に迷うが、とりわけ建国時のアメリカ史とフリーメイソンとの関係をどうとらえるかで、この映画の意味や機能が変わってくる。まず、アメリカが、建国の時代にはまだいまよりましな民主主義や自由の意識が国家的レベルで横溢していたと考えるならが、この映画は、反ブッシュの映画になる。また、逆に、この映画で暗黙に賛美されているフリーメイソンが、世界を支配しようとする「陰謀集団」や「国際的支配階級」(international ruling class)にすぎないと見なすならが、この映画は、ブッシュのやり口に代表されるキリスト教的世界支配を肯定するドラマにもなる。


あと脇にハーヴェイ・カイテル(レザボアドッグス)とかジョン・ヴォイトアンジェリーナ・ジョリーのお父さん)といった素で存在感がある俳優が出ていて物語を引き締めているのがよかったですね。ハリウッドのステレオタイプな美女を演じているダイアン・クルーガーもホントにハリウッド美女な風貌がはまってました。