アイアイの謎
島泰三著。長期に渡ってマダガスカルで野生のアイアイを観察した著者による、アイアイの生態を楽しく分かりやすく書いた本。童謡のアイアイは知っていても、本物のアイアイについては「原始的なサルだ」以上のことを知らなかったので、興味深く読みました。童謡のイメージは「かわいいおさるさん」なんですが、地元マダガスカルでは「不幸を呼ぶ悪霊」とされていて、「それを見た者はアイアイを殺さなければならないという迷信」があるそうです。
- 作者: 島泰三
- 出版社/メーカー: どうぶつ社
- 発売日: 2002/04
- メディア: 単行本
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1780年、フランス人博物学者ソンヌラは、マダガスカルでアイアイを捕獲し、2年後パリに持ち帰った。ソンヌラはまた、アイアイという奇妙な名前の由来について三つの説をあげている(Simons,1995)。第一、この動物が、アイアイと鳴くという説、第二、奇妙な動物を見たときのマダガスカル人の悲鳴に由来するという説、第三、「私は知らない」というマダガスカル語の方言に由来する、という説である。
著者の現地の見聞によると、地元の人はこの動物を昔から「ハイハイ」と呼んでいるらしく、それがなまって伝わったのようなんですが、なんか面白おかしく話が膨らんでる感じです。これってカンガルーの名前の由来と同じパターンだなあ。
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西洋人がカンガルーを指して「あの動物は何と言うのか」と訊いたところ、現地人は「私は知らない」という意味で「カンガルー」と答え、これがこの動物の通称となった、という有名な逸話は、(英語版Wikipediaによれば)俗説である。
え?俗説?そうなのかあ・・・と思って調べてみたらありました。オーストラリア原住民語を研究している東京大学の角田太作教授のページ。
この単語の語源についても、以下の説が流布した。ジェームズ・クックの一行が、奇妙な動物を見て、現地の原住民に「あの動物は何だ?」と聞いたら、原住民が「カンガルー(私は知らない)」と答えたという話である。実は、 グーグ・イミディル語 では、この動物を/kangurru/ [kaNoro]と呼ぶ。従って、ジェームズ・クックの一行は、実は、この単語をかなり正確に記録したのである。
おお、初めて知ることばかりです。グーグ・イミディル語はオーストラリア北東部先住民の言語とのこと。