アラン・ケイ

アラン・ケイ著、鶴岡雄二訳、浜野保樹監修。1992刊。

アラン・ケイ (Ascii books)

アラン・ケイ (Ascii books)

パーソナルコンピュータを考える上で、アラン・ケイの与えた影響ははかりしれない。しかし、われわれは、彼のヴィジョンのどれほどを理解しているだろうか?本書は、彼からのメッセージと論文、それにまつわる資料、浜野保樹による評伝から、その評価を試みるための世界で初めての貴重な文献である。

アラン・ケイダイナブックにまつわる誤解 史上初の本格的GUIを備えたとして知られるAltoだが、じつはAlto OSと呼べるもの自体はCUIベースでGUIはない。GUI環境の歴史に関する文でAltoが引き合いに出された場合、それは当時のSmalltalk環境を意味することが多い。言及者がSmalltalkを単なるプログラミング言語として狭く捉えていたり、その誕生の歴史的経緯(コンセプトとしての「ダイナブック」、暫定環境としての「Smalltalk」、暫定ハードとしての「Alto」の相互関係)を知らずに書いた記述が世に氾濫しているため、こうした誤った認識が定着してしまった。