黄金旅風 飯嶋和一著

黄金旅風

黄金旅風

最近出た著者最新刊です。図書館で借りる予定。普段からあまり本を読まず、特に小説はほとんど読まないのですが、同じ著者の「始祖鳥記」と「雷電本紀」がとても良かったので読もうと思ってます。

始祖鳥記 (小学館文庫)

始祖鳥記 (小学館文庫)

雷電本紀 (河出文庫―文芸COLLECTION)

雷電本紀 (河出文庫―文芸COLLECTION)

このふたつ、ここ数年でもっともココロを揺さぶられた小説です。「始祖鳥記」は江戸時代にグライダーによる滑空に成功したと言われる浮田幸吉を、「雷電本紀」では伝説のの力士雷電為右衛門を題材に同時代を生きる人々を綿密な取材を元に活写しています。

この方の小説は、司馬遼太郎などほかの歴史小説とはまったく異質な独特の読後感があります。うまく説明できないのですが、良い音楽を聴き終わったあとのような感覚、というのが一番近いのでしょうか。ストーリーとか思想とか、まあそういったものはもちろん盛り込まれているのですが、小説全体から重層的に心に響いてくるモノがあるのです。もやもやしたものがスッと晴れて、少しさびしいような透明な気分を味わうことが出来ます。

「始祖鳥記」「雷電本紀」はどちらもオススメなんですが、「始祖鳥記」はいろんな書評で最高傑作と絶賛されているので普通はこれから読むと良いでしょう。もしあなたが格闘技プロレスなんかに興味があれば「雷電本紀」から読むと良いかも知れません。極上の格闘技論としても読むことが出来ますよ。