「姑獲鳥の夏」と不自由な輝き

実相寺昭雄監督と言えばクラシック音楽や美術、建築などにも造詣が深い芸術家肌の人というイメージです。実際才能豊かでオペラのプロデュースから文筆業までこなすマルチアーティストです。
しかし正直なところ芸術作品狙いのものよりも、時間、予算、設定にや制約が多い仕事の方が圧倒的に観ていて面白いのですね。劇場映画よりテレビのウルトラセブンなんかの方が個性が際立って感じられます。
例えて言うと、フランス料理にキャビアがのっていても驚かないですが、たこやきの中にみっしりキャビアが詰まっていたらビックリする・・・という感じでしょうか。(ワカリニクイ?)
高級食材をB級グルメジャンルへ持ち込むなと批判したいわけではないです。そういう組み合わせや取り組み方を発想できることがスゴイことで、これこそ実相寺監督のアーティストとしての真骨頂だと思うのです。
似たタイプの方は他にもたくさんいて、ガンダム富野由悠季監督やイノセンス押井守監督なんかもそういうタイプなのだと思います。制約がある仕事のほうが面白いものになるというか、面白いことをやってしまう(!)。

で、そんな実相寺監督の不自由な輝きを持つ作品を数点紹介です。まずはこれでしょう。

DVD 怪奇大作戦 Vol.6

DVD 怪奇大作戦 Vol.6

怪奇大作戦という1968年に始まったテレビシリーズです。収録作の中の「京都買います」が良いです。仏像消失事件を捜査する主人公と仏像を愛する京都の女性との悲恋を描いています。映像、演出はさえているし、なにより岸田森の演技がいいです。寺山修司とか60年代、70年代のアングラ臭が好きな方にオススメします。
そしてウルトラセブン
DVD ウルトラセブン Vol.11

DVD ウルトラセブン Vol.11

収録作「第四惑星の悪夢」はなんと着ぐるみ怪獣や宇宙人が出てこない・・・当時の子供を裏切り、不安のどん底へ陥れた作品。ゴダールの映画「アルファヴィル」(アルファビル)へのオマージュだといわれています。
DVD ウルトラセブン Vol.2

DVD ウルトラセブン Vol.2

収録作「狙われた街」ではウルトラセブンメトロン星人(ジャケットのコイツ)が夕刻の木造アパートでちゃぶ台をはさんで話し合う・・・という有名な(?)シーンがあります。
最後にぐっと時代が下って1996年、ジャニーズ事務所V6の長野博主演の平成ウルトラマンシリーズ、ウルトラマンティガです。
ウルトラマンティガ Vol.10 [DVD]

ウルトラマンティガ Vol.10 [DVD]

収録作「花」は花見をしてたら宇宙人が現れ、花吹雪の中歌舞伎風に見得を切りながらウルトラマンが戦います(!)。もう一作は「夢」で寺田農島田久作が出演・・・これだけでも驚きですが、さらにビックリ浅野忠信まで出ているのです。浅野忠信は実相寺リスペクトで友情出演だとか・・・ファンは必見(?)ですね。