NHKアーカイブス1 夢と若者たちの群像

NHKアーカイブス〈1〉夢と若者たちの群像

NHKアーカイブス〈1〉夢と若者たちの群像

過去の貴重な番組を文章に起こしたシリーズです。第1巻は70年代の若者を見つめた6番組を収録しています。目当ては昭和56年(1981年)放送のNHK特集「わが青春のトキワ荘〜現代マンガ家立志伝〜」。貴重なドキュメンタリー番組なんですが再放送を見逃してしまい、がっかりしていたところがこの本を発見しました。


あらすじ〜
トキワ荘が取り壊されることなり、かつてのここに住んだ漫画家達が、30年ぶりに集まり「同荘会」が行われる。手塚治虫石ノ森章太郎赤塚不二夫藤子不二雄A藤子・F・不二雄水野英子鈴木伸一森安なおやよこたとくおつのだじろう長谷邦夫、横山孝雄、丸山昭が集合。錚々たる面々である。しかし、森安なおやは漫画家をやめてから妻子に逃げられ一人暮らし、今は建設現場で働く日々を送っていた。そして、寺田ヒロオが何故か現れない。若い漫画家達のリーダー的な存在であった彼は、漫画に絶望して筆を折り、殆ど誰とも会わない生活を送っていたのだった。


「運命」と言ってしまえばそれまでですが、同じ時間や場所を共有していても、人生は人それぞれ、ひとりにひとつ別々のレールがひかれているのだなあ、と思い起こさせる話です。
漫画家としての勝ち組、負け組を分けたものはなんだったのか?というのも、気にはなりますが、故人が多くなった現在では、むしろ諸行無常の響きありといった印象で、人間の値打ちは何処で計られるのだろう、あるいは計ることができないのか、または計ろうと計るまいとどっちにしろ関係ないのか、なんて、とりとめも無く思いをめぐらせてしまいます。

寺田ヒロオ森安なおやは「まんが道」などの「トキワ荘物語」でキャラクターとしては、よく知られているものの、作品や消息に触れることが少ない人物です。
トキワ荘寺田ヒロオについては
http://www.lcv.ne.jp/~shipi/index.htm
このページが、くわしいです。(なんと、トキワ荘の部屋割り考察まであります。)
また森安なおやについては長谷邦夫さんの日記(ご本人です「漫画に愛を叫んだ男たち」ASIN:4860290755です。→id:SIM:20040720)で、間接的ですがこの番組の一件について触れておられます。id:nagatani:20040823

すでに両名とも鬼籍に入られており、著作の入手も古書以外では難しいようですね。あと、この番組、「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦(当時、荒木利之)がチラッと出てきます。(手塚治虫荒木飛呂彦を絶賛するっ!)