マンガ産業論

先日読んだ「マンガ家誕生。」(id:SIM:20041112)の編者でもある中野晴行さんによる労作です。豊富な資料を元に産業としてのマンガの成立、市場構造、そして未来を分析しています。ちょうど夏目房之介さんの「マンガ 世界 戦略 −カモネギ化するか マンガ産業−」を読んだところだったので(id:SIM:20041106)リンクしているテーマも多くて面白かったです。

マンガ産業論

マンガ産業論

貸本は独立した市場だったとか、マンガ市場における「2007年問題」なんかの観点はなるほどと思いました。アカデミックなアプローチをしているわけではないので、分析や理論が多少乱暴で我田引水的なところもありますが、著者の実感が伝わってくるのでかえってわかりやすいのです。


産業としてのマンガに焦点を当てた研究は意外に少ないのだそうですね。文化や作品論、作家論は沢山あるらしいのですが。
芸術=清浄、産業=不浄みたいなイメージがあるから語られにくいのかも。ハリウッド的なビジネスでも成功してこそ真のスターてな感覚は日本人には乏しい気がするし。読む人がいないと考えられてたのかなあ。
しかし、これからはこのテーマのニーズは大きいと思います。もっと色々な角度からの研究が必要とされるのでしょう。


ところで私、著者の中野晴行さんに会ったことがあるみたいなんです。というのも先日、会社のデスクを整理をしていたら、中野さんの名刺がでてきまして・・・。著者略歴に8年前までは大阪で編集プロダクションとあるので、同姓同名の他人ではないと思います。なんの仕事でお会いしたのかは、まるで思い出せないのですが・・・。