武装解除 -紛争屋が見た世界

伊勢崎賢治著。あちこちの書評で評判だったのが頷ける内容です。いかに我々が紋切り型の「戦争と平和のイメージ」に慣らされているかを思い知らされました。現場を知るものだけが語りうるブレのない認識の数々に、圧倒されます。

武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)

武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)

報道で戦争や紛争を扱う場合、戦闘行為そのものや悲惨な被害といった「戦争らしい戦争のイメージ」ばかりが伝えられていて、それを見る我々も「これが戦争だ」とおもっているのではないでしょうか。
復興についても同様で学校を作ったり、病院を作ったり、子供に笑顔が戻ったりという紋切り型の「平和のイメージ」「復興のイメージ」を思い浮かべるわけですが、実際現場ではそれが障害になる場合もある、という話が出てきます。

国際援助の世界では伝統的に、留置場、刑務所等の”体制系”インフラは、小学校や病院等の”癒し系”インフラに比べ、極端に支援国の興味を引きにくい。

現実問題これだとなかなか治安が回復しないとのこと。
なるほど、その通りだろうなあ


「○○国の恵まれない子供たちのために、学校建設の募金をお願いします。」

「○○国に蔓延る犯罪者を収容するため、刑務所建設の募金をお願いします。」
では
その必要性に関わらず、募金する側の「満足度」に差がありそうだものなあ。
これも紋切り型の「戦争と平和のイメージ」によるのかも知れないですね。