硫黄島からの手紙

クリント・イーストウッド監督。硫黄島の戦いを日米それぞれの視点で描く2部作。期待を上回る良作。素晴らしいです。ただただ、圧倒されます。「父親たちの星条旗」を観たときに「イーストウッドって人間がでかいなあ」と思ったのですが、この作品でさらに大きく感じるようになりました。もうそびえ立っている感じです。


父親たちの星条旗硫黄島からの手紙
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/


この二部作、リアルな映像の戦争映画、あるいは日本の俳優が出演したハリウッド映画、というトピックで語られていて、役者とか特撮とか・・・もちろん色々見所はあるのですが、私がグッときて最も素晴らしいと感じたのは、構成とか編集の部分。「父親たちの星条旗」の原作者インタビューで、うまく説明されていたので引用します。

――シナリオのどこに感心しましたか?

「ストラクチャー(構造)についてですが、『父親たちの星条旗』では、フラッシュバック(回想)が、フラッシュ・フォワード、フラッシュ・アップといった具合に、多方向に向かって使われています。これはまるで音楽のようでしたね。次のシーンがどこにいくかわからないような自由な感じで、それこそ、ジャズ・ミュージックのようでした」


まさに、良い音楽のように心を揺さぶる編集・構成なんです。そういえば、何の本で読んだかは忘れましたが、黒澤明が「映画は他のどんな芸術に近いものか?」と聞かれ「それは音楽だ」と答えていたっけ。きっと、クリント・イーストウッド監督とポール・ハギス(この二部作で、脚本、原案、製作総指揮。そういえば007/カジノ・ロワイヤルの脚本もこの人ですね。)が、指揮者と作曲家ように、共同作業でこの「音楽」を産み出しているんだろうなあ・・・と想像しています。