生命の星・エウロパ

長沼毅著。題名だけ見るとSFっぽいですが、普遍的な生命概念を事実に基づいて考察する好著。面白い。

生命の星・エウロパ (NHKブックス)

生命の星・エウロパ (NHKブックス)

1995年、ガリレオ探査機によって木星の第二衛星・エウロパ表面にあるリッジ・カオスなどの地形の詳細が明らかになった。これらの形成理論と精密な観測結果から、厚い氷の下には、海と火山活動があることが確実視されるようになった。著者は、生命は火山活動によって地中から湧出する化学物資と化学反応の「場」としての水があれば誕生できるという。深海・地底としった地球の極限環境微生物の研究成果から、光合成の不可能な太陽系の辺境に棲む生命の存在可能性を探る。地球生命からエウロパ、そして宇宙に普遍的な生命の姿を考察し、さらには「生命とは、エネルギー流の渦である」という生命の本質に迫る野心的な試み。