恐怖の詩学 ジョン・カーペンター
ジョン・カーペンター監督の1997年から2001年にかけて取材されたインタビュー集です。
恐怖の詩学 ジョン・カーペンター―人間は悪魔にも聖人にもなるんだ (映画作家が自身を語る)
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「南極での犬と人間の触れ合いを描いた心暖まる映画だから」
と紹介したという逸話のある作品ですが、もちろんホントはSFホラー。(このネタはネットで見たと思ったんですが、ソースは見つからない。映画秘宝とかで読んだのかな・・・)しかも、かなりグロテスクな「物体」がでてきます。
でもこの映画、お化け屋敷的なものを期待して観るとあまり怖くないのです。確かにグロテスクな描写はあるのですが、あまりの度を越した表現から、かえって滑稽な感じを受けるくらい洒落っ気のあるものなのです。
南極に飛来したエイリアンが蘇生し、次々と観測隊員たちに襲いかかっては、その身体を乗っ取っていく。隊員たち(カート・ラッセル、キース・デヴィッド、ウィルフォード・プリムリーほか)は、仲間の中にエイリアンがまぎれこんでいるかもしれないと疑心暗鬼になっていき、ついに血液検査が行われるが…。
ドラマ自体は絶望的な状況を描いていて物語としての本質的な怖さがあって、それが派手な特撮のオブラートに包まれているような感じでしょうか。そのあたりがこの作品の魅力になっていると思います。
しかし、この映画はスピルバーグのE .T.公開直後だったせいか興行的には大コケで、この後カーペンターは商業的な成功から遠ざかることになったそうです。まあ、もともと反主流的な志向がある人ではあるのですが。
カーペンターは現状についてインタビューでこのように語っています。
なにもジャン=リュック・ゴダールのようになろうとしたわけじゃない。そんなことできっこないし、どうしたらできるのか知らないし、わからないからだ。かといってわたしはスティーヴン・スピルバーグにもなれなかった。自分以外のだれにもなれはしなかった。けれども、自分の範囲内でなら、なにか違ったことを試せた。わたしは成長したし、いまも必死になって成長しようとしているんだよ。
ここ読んで、ちょっと涙腺がゆるくなりました・・・。
miro_41さんのダイアリー(id:miro_41:20050119)でも同じ部分を引用して取り上げられてました。やはり、印象的な一節なんだなあ。
未見の「ハロウィン」「パラダイム」「マウス・オブ・マッドネス」も観てみたくなりました。