図説 小松崎茂ワールド

根本圭助著。まず膨大な仕事量に圧倒されます。この本で紹介されているだけでも凄い量なんですが、自宅の火災でスケッチなどは焼失したとのことですから、生涯にどのくらいの絵を描いたのかホント想像を絶しますね。小松崎茂っぽくない普通のスケッチなんかにも味があって面白かったです。著者は直弟子で長く小松崎茂と間近で見てきた方とのこと。

図説 小松崎茂ワールド (ふくろうの本)

図説 小松崎茂ワールド (ふくろうの本)

戦艦大和」「太平原児」「地球SOS」「サンダーバード」……昭和の子ども達を熱狂させたスーパーイラストレータ小松崎茂の画業の全て。初出作品を含め、修行時代の人物デッサンから絶筆となった油彩のB29まで600余点を大公開。

komatsuzaki.net(オフィシャルサイト)
http://www.komatsuzaki.net/


戦中、戦前の小松崎茂の主な仕事としてよく出てくるものに、国防科学雑誌「機械化」というものがあり、とても興味深いです。以前に読んだ本で知った「FRONT」と同様の日本軍のプロパガンダ誌らしいですね。

挿絵(未来の日本軍兵器・同じく未来のドイツ軍兵器などを創作・イメージ化)を担当した日本軍宣伝雑誌『機械化』は、当時、同盟関係にあったドイツでも評判になり、独訳されていないにも関わらず、ドイツにも輸入販売されたほど人気を博していた。


実物を紹介されているを見ると・・・


機械化 (未来兵器怪力線戦車)
http://www.gem.hi-ho.ne.jp/no-koshobu/kikaika/kikaika.htm


Yahoo!ブログ - 「模型探偵団」SF兵器の元祖は、「機械化」にあり!!
http://blogs.yahoo.co.jp/mokeitanteidan/13247858.html


テイストとしてはのちに手がける「海底軍艦」などの東宝特撮映画の超兵器と全く同じ・・・というか東宝特撮の雰囲気には戦前戦中のプロパガンダのテイストが含まれていたんだなあ。ある意味「本物の架空戦記」だった訳ですね。