単騎、千里を走る。

チャン・イーモウ監督。(日本編監督は降旗康男)日曜の昼に観たのですが3分の1くらい入りで、そのほとんどはご高齢の方のカップル(あるいは親子かも・・・)。あまり芳しくない前評判を聞いていったのですが意外と楽しめました。
確かにチャン・イーモウの映画として、あるいは高倉健の映画としての完成度はいまひとつですし、宣伝されているほどの感動作というわけでもありません。しかし、鑑賞後しばらくたってから何となく映画のシーンを思い出してしまうんですね。そんな魅力を感じました。


映画『単騎、千里を走る。OFFICIAL SITE
http://www.tanki-senri.com/


あえて語るとコミュニケーションについて、あるいはディスコミュニケーションについての映画でしょうか。この映画で主人公が伝えたいメッセージは、常に相手に直接届くことがありません。最も近しい家族、息子へのメッセージは常に嫁を通してしか伝えられず、中国ではほとんど通訳の出来ないガイドと携帯電話の向こう側にいる通訳を通してしか、あるいはそれでも足りずビデオやデジカメを使うしか、眼前の人にメッセージを伝える術がないのです。もどかしいこと、もどかしいこと。同じ人間なのに自分の気持ちを伝えることが、なぜここまで大変なのだろう・・・。


ひたすらに・・・ただひたすらに繰り返される「もどかしさ」の描写が、私の印象の大部分を占めています。しかし今、それは不思議にも不快ではなくて、共感できる余韻として心に残っているのです。まあコミュニケーション下手で、日々「もどかしさ」の中で生活を送っている自分だからかもしれませんが・・・。