ブラザーズ・グリム

テリー・ギリアム監督。公開初日の夕方だったのですが、3分の1くらいの入りでした。家族連れが多かったので、テリー・ギリアムの映画なのに(ブラック・ジョークてんこもりっぽいのに)大丈夫なのか?と心配しながら見たのですが、ブラックネタは連発されるも寸止めといった趣で、意外にもすんなり楽しむこともできる映画になってました。安心したようなガッカリしたような。
まあ主人公が「ナポレオン支配下のドイツでインキチゴーストハンターをやっているグリム兄弟」という時点でじゅうぶんブラックといえばブラックなんですけども。「すんなり楽しめた」という印象はグリム童話、というか昔話自体がギリアム監督的な視点・・・純粋に自然に底意地の悪い視点(笑)・・・を持っているせいかもしれません。


ブラザーズ・グリム
http://www.b-grimm.com/


冒頭の「魔法の豆」の話がとても印象に残ります。この映画は煎じ詰めれば現実とファンタジーについてどう考えるか?感じるか?という物語なんだろうなあ。リアリストのグリム兄(マット・デイモン)と夢見がちなグリム弟(ヒース・レジャー)とのやり取りには何度か目頭が熱くなるところがありました。
苦しい現実から生み出された甘美なファンタジーは、一面現実からの逃避でしかないわけです。しかしファンタジーは苦しい現実を生き抜くための心の糧という面もある・・・この兄弟の葛藤は、ひとりの人間の内面で起きている普遍的なものでしょうね。ギリアム監督作を全て観ている訳ではないのですが、過去に見た彼の作品でも同じテーマが描かれ、少しづつ考え方や感じ方が変化していっているようにも思います。

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モニカ・ベルッチはいつものエロ美女担当をガッチリこなしてます。美しいです。あと、拷問大好き人間カバルディ(ピーター・ストーメヤ)のキャラが面白かったです。この人キアヌ・リーヴス主演映画「コンスタンティン」でもサタン役でいい味出してましたね。